機能をタスクとして分割し、整理された状態で実装が可能に 開発時のコスト削減に貢献-JMR-5400シリーズ(日本無線株式会社様 採用事例)

船舶用レーダー「JMR-5400シリーズ」

日本無線株式会社
マリンシステム事業部
情報ビジネス技術部
Smart Shipグループ
吉田 亮 様

従業員数:5,923人(連結)

事業概要:情報通信機械器具製造業

導入した製品:船舶用レーダー
       操作部、制御部、通信部

購入した製品:μC3/Compact、μNet3

CPU    :Cortex-Mマイコン

今回は、日本無線株式会社様を紹介します。「通信機器事業」「ソリューション事業」「マリンシステム事業」の3つの事業活動を推進しており、この度、「マリンシステム事業」にあたる船舶用レーダー製品「JMR-5400シリーズ」にμC3/Compact、μNet3を採用頂き、採用前の課題やその効果についてお話を伺いました。

JMR-5400シリーズは漁船をはじめとする内航船やワークボートなどに使用されており、高い評価を得ています。

JMR-5400シリーズ

課題

過去の案件でプロトコルスタックのコードを変更したことがあった

採用の決め手

μNet3はバイナリ提供だけでなくソースコードも提供されている
サポートが受けられる

効果

機能をタスクとして分割し、整理された状態で実装が可能になった
技術サポートを活用し、カスタマイズも容易になった

――まずは、簡単に御社の事業と製品の説明をお願いします。

弊社は通信事業、ソリューション事業、マリンシステム事業という3つの事業構成になっており、私が所属しているのはマリンシステム事業部になります。

今回導入した製品は主に内航船やワークボートに使用されるレーダー「JMR-5400シリーズ」です。洋上の小さな物標や漁網の表示や、航跡表示機能が搭載されており、他船や僚船の動向などを捉える機能を果たしています。

メインCPUにはintelのコアが入っているのですが、周囲の操作部、制御部、通信部に3つのマイコンを入れており、それぞれにμC3が搭載されています。

導入前

プロトコルスタックのソースコード提供、サポート対応が決め手

船舶の規格では、船内通信がシリアル通信からイーサネットへの切り替えが進んでいるのですが、現在でもシリアル通信の機器が多数あるため、イーサネットと両方の機能を持つCPUが求められます。また、CPUの選定では、世界的に組み込みCPUのトレンドがARMコアに移行していたという点と、機能面とコストが一致したという理由からCortex-Mシリーズを採用しました。

――その時にCortex-MにあうRTOSはどのように選定されたのでしょうか?

大別するとμC3/μNet3、ARM社純正品、フリー版の3つが候補だったと思います。

フリー版はコスト面で優位でしたが、問題が発生した場合は自分達で解決しなければならず、多くの時間を費やして開発効率が低下する点を懸念しました。そういった際、やはり日本語による技術的なサポートが受けられるというのは大きなメリットだと思います。

また、ARM社純正品はサポートを受けられましたが、プロトコルスタックがバイナリで提供されていたので独自のカスタマイズができませんでした。その点、μC3/μNet3はバイナリだけでなくソースコードも付属する点が良かったです。

――μC3を知ったきっかけは何でしょうか?

自分たちで調査していたところ、当時雑誌でFM3特集がありました。FM3マイコンのCPUボード、μC3/μNet3及びIAR社のEWARMが入っており、社内で評価をした結果、μNet3の通信速度が仕様を満たしている事を確認出来ました。

Interface 2012年付録 FM3マイコン基板 μC3 + μNet3/Compact評価版

――評価時のμC3に対する印象を教えてください。

RTOSはプログラムの裏で動くので空気のような存在ですが、動作も安定しておりオーバーヘッドも小さいと感じました。

μC3/Configuratorについても、マニュアルがきちんと整理されていたため、基本的な使い方が解りやすかったです。当時、TCP/UDPのプロトコルスタックを使うのが初めてだったので、親切な内容でとても助かりました。
イー・フォースのHPから無償で入手できるデバッガ用プラグインも使い勝手が良く、一番利用したのがスタックサイズの表示機能です。スタックの消費状態が可視化されるため、開発しやすかったです。

導入後

機能をタスクとして分割し、整理された状態で実装が可能に

――導入後に感じた一番のメリットを教えてください。

開発期間の短縮化はもちろんですが、一番のメリットは機能を分けられることです。タスクとして分割できるため、機能ごとに設計できました。開発は複数のメンバーで行っていたので、タスクごとに担当を決めて効率よく作業を分担することができたと思います。また、見通しの良い構造は不具合の混入も未然に防げるため、製品の品質という観点からも導入して正解だったと感じます。今では、小さな組込みシステムでもRTOSを使うようにしています。

技術サポートを活用し、カスタマイズも容易に

――導入から稼働するまでの間で何か問題点はありましたか?

μNet3の仕様上想定していない使い方を弊社側で行っていた時があり、うまく動作しない事がありました。ソフトウェアの修正も検討したのですが、構造を大きく見直す必要があり悩んでいた時にサポートに問い合わせたところ、具体的なソースコードの修正方法をアドバイスして頂き、期待通りの動作となりました。

質問をしてから次の日には回答を頂いたのでとても速くて助かりました。

フリーのプロトコルスタックでは解析するまでに時間が掛かりますし、詳細までは調べる事は困難です。技術的なサポートを受けられるという点は非常に良かったと思います。

今後の展望

――最後に今後の展望をお聞かせください。

今後も継続して機能追加/性能改善を行い、より多くのお客様に満足してご使用頂ける製品にしていきたいと考えております。

また、本製品が、船舶の安全航行支援に加え、漁船の操業支援、ワークボートの運行支援に貢献することを大いに期待しています。

資料ダウンロード

μC3のCPUサポートや価格について、詳細をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。

ご不明な点がありましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。