Modbus TCPは、1997年、フランス・シュネデール社により発表されたネットワーク規格です。最大の特長は、イントラネットおよびインターネット環境でPLCやI/Oモジュール等のスレーブデバイスとの通信が可能になることです。アクセスするデータの番地はクライアントからのメッセージに記述されるため可変になりますが、その分、高速のリアルタイム性を要求するアプリへの適用は注意が必要かもしれません。

Modbus TCPの特徴

Modbusプロトコルには以下のような通信モードが存在します。ASCIIモードとRTUモードはシリアル通信のため、通信速度は約20kbps程度と非常に低速。

通信モード 特徴
Modbus ASCII
  • 1バイトのデータを2文字のASCIIコードとして送受信
  • 解析しやすいが、伝送時間が遅い
Modbus RTU
  • 1バイトのデータをそのままバイナリとして送受信
  • データ量が少なく伝送時間が速い
Modbus TCP
  • TCP/IP上でModbus通信を行うためのプロトコル
  • 通信速度が非常に速い

Modbus TCPは、ModbusプロトコルをTCP/IPに拡張したプロトコルで、インターネット環境でのメッセージのやり取りが可能です。クライアント・サーバモデルで通信を行っており、クライアントは従来のModbusプロトコルのマスターに相当し、サーバはスレーブに対応します。すなわちマルチマスター、マルチスレーブのシステム構成が可能になります。

Modbus TCPの仕様

Modbus TCPの仕様は、Web上で「OPEN Modbus / TCP SPECIFICATION」として公開されています。

Modbus TCPの実現方法

Modbus TCPの実現方法は以下になります。

Modbus TCPの実現方法
  1. ルネサス社製 RX72Mを使った実現方法
  2. 他の汎用マイコンを使った実現方法

1.ルネサス社製 RX72Mを使った実現方法

ルネサス社からRX72M 通信ボード(テセラ・テクノロジー社製 TS-TCS07298)向けにModbus TCPを使ったサンプルプログラムおよびアプリケーションノートが提供されています。こちらを参考に自社で実装する事が可能です。また、収録されているスタックはイー・フォース社のμC3およびµNet3上で動作します。

サンプルプログラムの動作環境は以下です。

項目内容
使用ボードRX72M 通信ボード テセラ・テクノロジー社製 TS-TCS07298
CPURX CPU(RXv3)
動作周波数CPUクロック(CPUCLK): 240MHz
動作モードシングルチップモード
統合開発環境e2studio(V7.5.0 以降) + CCRXコンパイラ(V3.01.00)
エミュレータ(ICE)ルネサス社製 E2 Lite
RTOSイー・フォース社製 μC3/Standard
TCP/IPイー・フォース社製 μNet3-Professional

Modbus TCPのサポートベンダ

サポートベンダ 提供サービス
ルネサスエレクトロニクス株式会社 サンプルプログラムおよびアプリケーションノート
イー・フォース株式会社 RTOSおよびTCP/IPスタックのライセンス
テセラ・テクノロジー株式会社 SW開発、HW開発

2.他の汎用マイコンを使った実現方法

イー・フォースのパートナーにて、μC3/μNet3上にModbus TCPを実装する事が可能です。

Modbus TCPのサポートベンダ

サポートベンダ提供サービス
イー・フォース株式会社RTOSおよびTCP/IPスタックのライセンス
テセラ・テクノロジー株式会社SW開発、HW開発

Modbus TCP/IPとμC3を組み合わせてできること

RTOSを使用する事により、Modbus TCPだけでなくUSBやSDなどの機能を実装しやすい柔軟性の高いプラットフォームの構築が可能です。また、μC3を使用する事により、豊富なCPUや開発環境の選択肢からベストな環境を選定する事ができます。さらには、μC3と産業用イーサネットに豊富な経験を持つ弊社のパートナー様に開発を委託する事もできます。このため、開発に掛かるトータルコストを抑えられます。

資料

詳細をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。

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