迅速な技術サポートでリアルタイム性が求められる製品をスピード開発 -テレメトリ無線機「WR-TAJ02G/WR-TAJ02F」(株式会社TKKワークス様 採用事例)

株式会社TKKワークス

事業内容 無人航空機および関連する無線機器の設計・製造・販売
導入した製品 ドローン用テレメトリ無線機
購入した製品 μC3/Compact
CPU STM32F7

 今回は株式会社TKKワークス様をご紹介します。
 産業用ドローン開発を行っており、ドローンに必要な機体、無線機、フライトコントローラなど無人航空機に必要なすべてを、株式会社TKKワークス様を含むグループ全体で行っております。この度、同社のテレメトリ無線機「WR-TAJ02G/WR-TAJ02F」に弊社のμC3/Compactをご採用いただき、採用前の課題やその効果についてお話を伺いました。

 産業用ドローンの無線距離は通常1km程度ですが、同社の無線機は5km〜10kmという距離でも利用できます。そのため、産業用ドローンとしての多様性や、災害時の活躍も期待できる製品となっております。

課題

ROM容量とリアルタイム性が求められる製品をスピード開発したい

採用の決め手

周辺ミドルウェアとの連携と迅速な技術サポート対応

効果

アセンブリレベルでROMが最適化しており開発工数も半年以上短縮

――まずは簡単に御社の事業と製品の説明をお願いします。

 弊社はドローンを作るために立ち上げたスタートアップの会社です。
 産業用ドローン開発を行っており、ドローンに必要な機体、無線機、フライトコントローラなど無人航空機に必要なすべてを開発しています。

 今回μC3を導入した製品はテレメトリ無線機となります。 機体と地上にいる操縦側でデータ通信をするための無線機です。機体側ではセンサーやフライトコントローラとつながっていて、機体の情報を地上に送る無線機になっており、地上の無線機をパソコンに接続すれば機体の状況を確認できます。ここにもCPUボードが入っていて御社のRTOSが載っています。

株式会社TKKワークス
代表取締役社長: 前田 和則 様

導入前

ROMサイズとリアルタイム性を重視したRTOS選定

 高性能なRTOSを利用し、アプリケーション開発のリソースを減らすという考え方もありますが、高性能RTOSになると多くのROM容量が必要になってしまいます。
 UIも含めた様々な機能を考慮する中でROM容量の議論は避けられませんでしたが、イー・フォースのμC3はアセンブリレベルでROMサイズの最適化がされていました。

 また、このテレメトリ無線機はシリアル通信のデータ転送が多く、通信相手はパソコンや無線機の無線モジュール、ドローンの機体に搭載されているフライトコントローラとなります。これらをシームレスに動かすためには、リアルタイムに動かすことができるRTOSを選択する必要がありました。

フリーと商用 信頼性の高いRTOS、実績があるRTOSを選ぶ

 管理者目線でいうと、やはり信頼性が大事になります。
 ドローンは産業機、使用できる無線機には、信頼のできるRTOSを利用する必要があります。
 フリーのRTOSは保証がなく、そこにバグがあればもちろん弊社では保証はできません。それでも商品として販売し不具合があった場合、保証するのは弊社となります。 少ない開発人数で行っているためOSの評価期間まで確保することは難しいため、信頼性が低いものは弊社では使えません。信頼性の高いRTOS、実績があるRTOSを選ぶ、というのが弊社の普通の考え方です。

UIと通信ネットワークの向上と作業工数削減

 今後、ネットワーク化をさらにすすめることや、TFT(Thin Film Transistor)対応しタッチパネル搭載等のUI向上を考えると、既存のCPUでは実現ができないので、より高性能な新しいCPUに乗せ換える必要がありました。
 しかし、実現するためには、TCP/IPや、ファイルシステムのミドルウェアやドライバを考慮する必要があります。その場合、RTOSがあるかないかによってポーティングも含めて作業ボリュームが全然違うと思います。μC3を使えば、そういった周辺ミドルウェアとの連携はスムーズにいくと考えました。

導入後

――開発から量産までの期間について教えてください。

 開発する規模によって人員リソースは変わると思いますが、弊社のリソースでは評価を含め1年〜2年という期間がかかってしまいます。
 しかし、今回はテレメトリ無線機を半年、それを基にした2.4GHz操縦装置の方は1年弱という期間で開発でき、開発期間が短縮できました。

株式会社TKKワークス
開発部: 山﨑 大仁郎 様

開発コストを下げるためのマイコン選定

 メインCPUも変更したいという思いや、ネットワーク化を実現したいなど、将来的な展望はありますが、スタートアップの会社のため今ある資産を有効活用し、商品化するまでのスピード感がとても大事でした。
 μC3はイー・フォースのコンフィグレータも使用できるため、立ち上げ時の開発工数の削減ができ、結果的に、開発のコストを下げることにつながりました。将来的な展望に近づくためにも、今回はμC3を使い短い開発期間で、機能追加を実現し商品化が叶いました。今回は今後の開発スピードを上げたいという意味でのマイコン選定でもあったと感じています。

何かあったらすぐに聞ける技術サポート

 何かあったときに自分の工数を使って解決するか、有償の技術サポートをうけ、何かあったときにバックアップをしてもらうことができるかという二つの考えがあります。また、瑕疵担保の話も含まれるかと思います。
 さまざまな状況を踏まえ、商用RTOSを購入し、有償の保守サービスを受けるという決断になりました。イー・フォースの技術サポートは問い合わせの回答をすぐにくれるので、開発がスムーズにできました。

今後の展望

産業用ドローンやロボットに対応した長距離無線機への展開

 世間的には空撮や、農薬散布などの用途で利用されていることは認知されていますが、今後期待される活用方法は2つあります。
 一つ目がインフラ点検です。
 日本では全国各地で老朽化が進んだ橋が、作り替えは難しいため、点検して修復するというのが従来の方法です。山奥など、人が行きにくい所へはドローンで点検をするということも期待されています。
 二つ目は離島や、山間集落への物資運搬用ドローンを使って行う物資運搬用途です。

 しかし、社会実装のためにはドローンの通信の課題があります。
 ドローンが何を運び、どこを飛んでいるかの監視ができないと、何かあったときに対応ができません。弊社ではその通信課題を解決する無線機を開発していますが、これはドローン限定の話ではなく無人重機などにも活用できると考えています。災害時に道路が崩落した場合は、ドローンが先に入り状況を把握して、つぎに無人重機が道を開く、その際に携帯が通じない状況だった場合、ローカルで使える無線機である必要もあります。当社は長距離でコントロールができる無線機の将来を見据えて開発を続けていきます。

資料ダウンロード

μC3のCPUサポートや価格について、詳細をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。

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